民藝の旅、瀬戸へ4/瀬戸本業窯 [民藝・手仕事・古道具]
瀬戸の旅、最後に伺ったのは「瀬戸本業窯」。黄色っぽい白をした「黄瀬戸」、三色の色を使った「三彩」、細い直線模様の「麦藁手」。伝統的な手法を守りながら、今もここで日々器がつくられています。つくり手の水野雄介さん(八代目の後継者となるかた)が、ご丁寧に時間をかけて歴史背景からつくる過程まで、たっぷりとご説明してくださいました。柳宗悦がこの地を訪れたとき、瀬戸本業窯は(そのときの商業的な流行や販売数だけを考えて変えてしまうのではなく)伝統的な手法や意匠を守って行くべきだと指導を受けたんだそうです。それ以来、スタイルを変えることなく、民藝の精神を貫いてつくり続けているのがこの瀬戸本業窯なのだそうです。水野さんご本人曰く、器を買ってもらうだけではなく、その制作過程や背景を知ったうえで使ってもらいたいという思いがとても強いのだそうです。そんな地道な努力があってこそ、昔ながらの仕事が守られているのかもしれません。写真も撮らせていただけたのでレポートします。(つづく↓)
登り窯は残されていますが、やはり現在は使われていないそうです。
今はガス窯で焼いているそうです。
登り窯の部屋の1つの内部。床に空いている穴から炎が回ってきますが、穴の上の壁がガラス質に変質して青っぽくなっています。薪を燃やした灰が壁に付いて、ガラス質になったということです。この発見から釉薬の考え方が生まれたという説もあるとか・・・なんだかすごい話。
釉薬についても、説明してくださいました。これは米のもみ殻による灰の釉薬だとか。これを塗った部分は焼き上がると白くなるそうです。農薬など使った米だと使えないんだそう。
モノが生まれる現場を見せてもらうことはほんとに楽しいですね。
工房内の一角にはいろいろな道具。この竹串などでできた道具は、同じ大きさ、厚さに揃えてつくるための道具だそうです。器は焼くと少し縮むのだそうです。
三彩の器は印象にのこる意匠。瀬戸本業窯の馬の目の器は、線にとても勢いがあります。速いスピードで描くのだそう。黄瀬戸は黄色がかった優しい色合いの白。どの器とも合わせやすい。黄瀬戸の水玉のものはとても愛らしい。我が家は三彩と水玉のものを購入しました。
この窯元には資料館まで整っており、歴史も追って見学することができます。こんなに入れ子になった三彩の片口もあります。すごい精度。
柳宗悦がこの地を訪れたときに贈ったという掛け軸。実物が展示されています。民藝の地に来たんだなと実感し、感動しながら瀬戸の地をあとにしました。我が家の民藝の旅、さて次はどこへ向かうでしょうか!