ガラスの破片

昨年末、11月の展示でもモチーフにした作品があったのだけど、もう10年近く前？海辺でガラスの破片（シーグラスと呼ばれる）をせっせと集めた時期があった。時間があれば観音崎や鎌倉へ行って、海を眺めつつ波に洗われた、炭酸水が溶け込んだような表情の白、緑、青、茶色などの美しいガラスをたくさん拾い集めて持ち帰った。それは、今こうして瓶に入れて玄関に置いてある。実際には、海に打ち上げられた瓶などのゴミの破片が波に洗われて角がとれただけのものだけど、ぼくたちにとっては宝物のように美しいものだった。
その頃は切り絵やイラストもまだやっていなくて、時間の余裕もかなりあった。今はそういう余裕も無くなってしまったとは言いたくないけれど、なんだか気持ちの面では、あの頃とやっぱり違うなという話を妻とすることがある。最初に言った11月の展示でのシーグラスのエピソードを絵にした作品を妻が見て「また、昔みたいにシーグラス拾いにいきたいな。」と言った。ぼくもそう思っていたから、あの作品をつくったのかもしれない。