今年もありがとうございました [民藝・手仕事・古道具]
12月に入ってから、青山にある「べにや民藝店」でここ何年か買っている注連縄。今年は出雲の亀のものにしました。右の鳥は高千穂のもので、昨年買ったものです。色褪せて茶色くなっていますね。
さて今年もあとわずかでおしまい。特に春からがほんとに早い一年だったなと感じます。個展はしませんでしたが、もみじ市にも出ることができて、たくさんの人にお会いできて、また仕事でも新しい出会いもいろいろとあり、ありがたい一年でした。制作をしていく中で、自分の作品についてもいろいろ考えた一年でもありました。また、来年もいろいろなことに挑戦したいと思います。今年一年、作品を見ていただき、また応援いただき本当にありがとうございました。よいお年をお迎えください。
YUYA
メリークリスマス! [コラム]
みなさんメリークリスマス!
ぼくは家での静かなクリスマスを過ごしています。
スペアリブなど食べてケーキなども食べます。
毎年同じコップを使ってジュースなど飲んで、
毎年同じガラスのカップでお茶なども飲みます。
毎年変わらないあたたかなクリスマス。
それが心地良い。
ジラルドの本を見ながら、一段落の年末。 [コラム]
昨日は年末に向けて進めていたある仕事も昨日無事提出して終わり(あれでOKかな)、今日は少しホッとした気分の休日でした。今回の仕事はちょっと露出がありそうで、なかなか楽しんでやれた仕事でもありました。初めての「布」を媒体とした作品を考えるという仕事(というより、あるものを作るための布のデザインを考える)だっだのですが、最初に、自分の作品の「このモチーフで」という提示があり始まったデザインでした。
いま「デザイン」と言ったのですが、ぼくの仕事は結構デザインとイラストの間を行ったり来たりすることも多く、なかなか自分でもそれが楽しかったりします。例えば「額に入れて飾る絵」を依頼されたときは、それは完全に作品性のある(イラストというよりも)絵の仕事。でも、何かに使う布のパターンを考えてと言われたときは、パターンデザイン。だけどその前に絵を描くことになるのでイラストとデザイン両方を違う視点で考えながら進めることになります。
今回の布の仕事、自分としてはなかなか基本的で分かりやすいデザインになったと思うので結果よかったかも知れません。あるモチーフを使ったパターンと言っても、そのパターンの組み方によっていくらでも違うデザインができるので、なかなか奥が深いものです。色の部分では、予め微妙に色合いを変えたパターンを用意し、出力センターで紙に印刷してみて、実際の色味を比べて決めました。でも、色校正でまた違ってくるかも。この案件もそのうちお知らせできるようになるんでしょうか。そのときにまた!
写真は先日安く買えた、大好きなデザイナー、アレキサンダー・ジラルドの大型本。この人はフォークアートの蒐集家としても有名で、さまざまな民芸品のモチーフや色彩から影響を受けたテキスタイルパターンなどの美しいデザインをたくさん作り出した人です。先日わが家が「&プレミアム」の取材を受けた時もインタビューの中でお伝えしたのですが、民芸品など純粋に人を優しい気持ちにし、生活を楽しくする素朴なるモノたちからもらえるパワーやアイデアを得て、それを自分のフィルターに通した上で再構成して自分の作品をつくるという感覚は、ぼくも最近とても意識している部分です。今年は特に、一年間そういうことを考えながら作品をつくってきたように思います。集めているだけではなく、それらから吸収したことを作品にする。それは、多分自分にしかできない感覚かもしれないと思って取り組みたいと思います。
とても素敵なつくり手の方々、さまざまな民芸品、これから始めたい布を染めるという分野。今年もいろいろな出会いがたくさんあった良い年だったように思います。もうすぐクリスマスの休日に思ったこと。ではまた!
鈴木稔の仕事/中目黒SML [民藝・手仕事・古道具]
益子の作陶家、鈴木稔さんの個展が中目黒SMLで始まっています。初日に早速おじゃましてきました。初日だったのでレセプションでフードとワインのサービスもあり(ぼくは酒は飲ませんが)おいしいスープなど少し頂きました。もちろん稔さんも在廊されてて、お話できて嬉しいです。ふと食べているときの稔さん、スプーンもってるのが左手。アッと思いつつぼくも食べていると、稔さんから「左利きなんですか?」と言われました。そうなんですよ、と左利き仲間ここにも発見。
鈴木稔さんの器は、とくにお茶を飲むカップなどわが家でも大抵毎日登場するくらい頻度が高いです。手に馴染む感じや程良いリラックス感(とでも言えばいいのか)のある味わいがあるのだけど、どこかエレガントなラインも同時にあるような。洋風のものを食べたりするのによく使われている気がします。いわゆる民藝では無いと思うのですが、民藝の器ともよく合います。
今回は、新しい薪窯で焼かれた器ということでしたが、文様が入った大皿など、見ていて楽しいものが多かったです。秋に稔さんの工房におじゃましたときにも、いろいろと作る時のエピソードなどが聞けましたが、どうやって作るとか、どう考えて作ったものだとかの話を聞くのは、とても楽しいことですね。作り手の苦しみを少し共感できるという部分もあります。でも、苦しんだ上でこうした美しいものが出来上がるんだなあと思うと、また見え方も違ってくるように思います。鈴木稔さんの個展、12月28日まで。
今回選んだ器
雑誌、&Premiumの取材 [コラム]
今日は日曜日。朝から、先日依頼があったマガジンハウスのライフスタイル誌、&Premium(アンドプレミアム)の取材がありました。インスタグラムなどから、ぼくの民芸品コレクションに興味を持ってくださったそうです。郷土玩具や世界の民芸の1個1個について、エピソードなどを聞かれると、ああ、これを買ったときは、こんなことがあったな、とか、いろいろと思い出しました。自分の最近の作品と民芸品が、どう関わってるのかということも話題になったりしました。女性三人でテキパキと取材が進んで行く様子をみせていただき、さすがプロの仕事です。楽しい取材の時間でした。2月20日発売予定だそうですが、どんな紙面になるのか楽しみです。
鳥の民芸品 [民藝・手仕事・古道具]
世界の民芸品には、鳥のものがとても多いように思います。もともとぼくも鳥のモチーフはとても好きですが、やはり鳥というのは世界中で共通して好かれる・惹かれるモチーフなのでしょうか。また、同じ鳥でもそれぞれに国によって表現が違っているのを比べたりするのも楽しいことです。上の写真は我が家の民芸品から3つ選んで並べた鳥。素朴なものですが、横から見る姿もなかなか美しいです。
一番奥の大きい鳥は、エジプトのものだそうです。エジプトの民芸品自体、あまり見かけない珍しいものだと思います。穴を開けられた模様が施され、味わい深い質感と深い色づかい。でもフォルムは美しくシュッとしています。真ん中のものは、どこの国か分からなかったのですが、裏に「ドブロブエ」という購入者メモが残されています。謎ですが、クロアチアのドブロという場所の鳥笛なのかも知れません。そして一番手前は、ペルーのプカラの小さな鳥。プカラの民芸品といえば牛(下の写真のものも、そのひとつ)が有名です。ぼくも3つほど持っていて気に入っています。ペルーではこれの大きなものが屋根に乗せられるそうです(cf/沖縄のシーサー)。素朴な感じに惹かれます。
民芸品を眺めながら暮らすのは、とても楽しいことです。また、民芸品はアイデアや楽しい気分をくれます。最近また棚を増やしたので、少しずつ増えて行くでしょう。金額的には高価なものは無いですが、ぼくたちにとっては毎日がより楽しくなる宝物なのです。
日本民藝館展 [民藝・手仕事・古道具]
毎日がすぐに過ぎていきます。今年はすでに真冬のような寒さの12月ですね。14日に、ここ何年か毎年行っている「日本民藝館展」へ行きました。この展示は毎年12月に日本民藝館で開催され、いま活躍中の民藝の作り手によるその年の出展作品が見られます。入選しているものは広い2階の展示室に、その場ですぐ持ち帰れる準入選のものが1階にあり、入選のものは、初日の朝イチでほとんど売れてしまと聞いたこともあるくらいです。ぼくが行ったのは2日目。2階は赤いシールが貼られたものばかり&1階の持ち帰れるものもほとんど無くなってる状態でした。でも2階のものを見ると、今年はこういうものが作られて、評価されたんだという流れも何となく分かって面白い。売店で「レンテン族の豆敷き」を1枚購入して民藝館を出ました。
帰りに東急ハンズで板を買って重い重いと手で持ち帰りました(板は何枚もあるとほんとに重い)。そしてその日の夜までにペンキを塗り、次の日から少しずつ棚をつくり、昨日完成。また民芸品を置く棚を作ったのです。前から年内にしたいと思っていたので、ちょっとでも時間が取れてよかった。またすぐ埋まってしまうであろう棚。棚をつける場所を考えるのもなかなか難しくなってきます。
パターンデザインのこと [作品]
ある会社の方からの依頼で仕事をしています。それは、先日始まったテキスタイルデザインの仕事とは別のものですが、やはり布媒体のパターンデザインの仕事です。デザインでもあり作品的でもあると言った方が良いでしょうか。不思議なことですが、偶然に似たようなものが重なるものですが、うまい具合になんとか微妙にズレながら同時進行しています。
今までぼくはパターンデザインの仕事をしたことが無いのですが、ある意味数学的であり、大いにグラフィックデザイン的であり、単体のイラストを描くのとはまったく違った感覚を使う仕事だと感じます。同時に、ぼくが今後向かっていきたいもう一つの「布」という世界にも確かにつながっている仕事なのです。
自分が描いた絵やその破片を使って、また違った見せ方で全体をデザインする。それは自分にとってとても新しい感覚で、やっていてとても楽しいこと。自分が描いた絵でありながら、素材として使うときは、自分でもう一度その絵を客観的に違った視点で見つめることになります。今回、どんな風に完成するのか、どのように発表されるのかなどまだ分かりませんが、良いものができると良いなあと思って取り組んでいます。制作を始めるとついつい夜型になりがちですが、楽しく年末を乗り切りたいです。そうだ、年賀状も書かなければ!
近江屋洋菓子店 [喫茶・ショップ]
たまに行きたくなって楽しむ「近江屋洋菓子店」。2カ所あるけれど、ぼくが行くのは神保町からも歩ける神田店。何が「楽しむ」なのか・・・喫茶コーナー(喫茶バー?)を申し込むと、フレッシュなフルーツジュース、コーヒー、紅茶、ココア、そしてスープを何杯でもセルフでおかわりできるというすばらしさ。いつも妻と二人で行き、ケーキを1つずつ頼み、このバーでいろいろなジュースやスープ(今日はボルシチではなく、ビーフと野菜のスープであった)を飲んで、やりたい放題の満足感であります。帰りにピロシキなんかも買うのも忘れずに!ぼくはこういう感じが大好きですが、「何とかパティシエのケーキがどうのこうの」ということにしか興味が無い妻ではなくて、ほんとに良かったと思います。そういう感覚が合うことはとても大事だよなあと思う。近江屋洋菓子店、どうぞお試しを!
冬にはガベを敷いて [コラム]
12月ってだけで何だか落ち着かなくて慌ただしい気分の上に、やることもいっぱいあるイメージ。年賀状はとっとと印刷かけておいて良かった。が、これから書かないとならないですね。最近の年賀状のつくり方は、自分で紙に絵を描いてそれをマックでデザインして完全入稿データを作成、グラフィックという印刷会社へ入稿して印刷。自分でやるのが一番思い通りにできるけれど、紙質を初めてのものにするときは注意が必要。今回、少し黄色の度合いが強い紙を選んだら、赤(マゼンタ)が少し薄くなってしまったりしました。濃いピンクが少し薄くなったという。まあ、いいか、自分のだから。ということにします。でも、なんだか大らかな年賀状が出来たように思います。楽しい年になるように願いを込めました。
写真は、ダイニングで使っているデンマークのチェアに敷いたガベ(っていう織物)。これも世界の民芸と言えるものですね。いつか「倉敷ノッティング」も欲しいなと思っています。冬にこういうものを使うと気分まであたたかになります。
師走の日々 [コラム]
今年も駆け抜けるように過ぎたと思っています。このまえ年が明けたかと思ったら、もう師走。今年もいろいろなことがあったなあと振り返っています。個展はやれなかったですが、もみじ市にも出ることができたし、初めてお会いする方々も多くうれしい年でもありました。ソスィテー、布という媒体について目標も見えてきたので、これからがんばってみたいと思っている所です。
また、ここ何年か続いている日本国内の「民藝の旅」も、うつわだけではなく和紙や布など、新たなステージへと移りつつあり、人のつながりも新たな広がりを見せています。世界の民芸などのモノや古書との出会いもわりと多かったように思います。さて来年はどんな年になるのかなと思いつつ、またあっという間に過ぎてしまうので、なるべく目標を達成できるように気合いを入れたいと思います。(なーんて言っておくか)
あと、最近はインスタグラムをわりと頻繁に更新しています。昔の作品も載せ初めているので、良かったらご覧ください。
http://websta.me/n/yuya_chokkin_kirie
そういえば、マリメッコも [美術・デザイン探訪]
そういえば静岡でもう一カ所行ったところ。短い時間でしたが、ドロフィーズインテリアというお店へmarimekko(マリメッコ)のファブリックを使った雑貨なども見に行きました。アトリエぬいやの山内武志さんが、「マリメッコが見られて、面白いと思うよ!」とおすすめがあり、お店の名前まで調べてくださったのでした(場所はわかるんだけど、名前が分からなかったらしい。そういうこと、確かにありますね)。都田建設という会社がプロデュースしているお店だそうで、小さなお店が同じ通りにいくつか並んでいるスタイル。マリメッコのファブリックを使った商品をたくさん集めたお店、カーテン?のお店、雑貨を集めたメインのお店、ヴィンテージの北欧食器を展示しているお店など。こうしたプロダクトを見ると、こういうグッズも良いなとアイテムのアイデアの点でもとても勉強になります。
山内さんから教えていただいて、一瞬、型染めとマリメッコ?と思ったけれど、共通点があるように思います。最近、布のデザインの仕事で絵を考えたりもしているので、北欧に限らずにいろいろな外国のファブリックのデザインを集めた本なども見たりしますが、ぼくがグッとくる好きなものは、シンプルで明快で美しいもの。それは山内さんの型染めに通じるものがあるなあと静岡から帰ってからも思い出したりしています。みんな手仕事はつながっているのだと思います。「これが好き」というものをハッキリと持つことはとても大事だと思っているけれど、同時に他のものもたくさん見るという事も、またとても大事だと思っています。そもそも、人の手がつくるものが持つ本質は同じだろうから。それを、どう組み合わせるかということがモノづくりではないかなあと思っています。
三保の松原/静岡 [コラム]
静岡の旅の続き、今回でラスト。城北工房のそのすぐ近くの住宅地にあり、以前からネット上でいろいろお話させていただいていたおなじみのお店「うつわ暮らしの道具 テクラ」さんへ。店主の宮入さんご夫婦にもお会いでき、お店に伺えて良かったです。ちょうど、安達健さん、岩田智子さんの器の展示が開催されていて楽しませていただきました。お店は新しくとてもきれいなギャラリーでした。
宮入さんとは、いつかインスタグラム(だったかな?)でつながり、それ以来ぼくの作品や民藝の記事などもいつも見て下さってコメントし合ったりしていました。先日は石川昌浩さん+井上尚之さんの二人展で東京の学芸大学でバッタリ宮入さんにお会いできたところ。今回は奥様にも初めてお会いできて良かったです。おみやげに(ぼくがとても好みの雰囲気の)お菓子までいただいてしまい、楽しみに頂いています。こういうのがさりげなくて一番心がこもったプレゼントだなとぼくは思います。宮入さん、どうもありがとうございます。
その後、三保の松原と日本平へ。三保の松原という場所は、砂浜と松と海。日本の美しい風景がそのまま残る場所です。とても美しかった。いつもタイムテーブルな旅になってしまい、こういう名所を見る時間がないことが多いですが、今回は少しでも時間がとれて良かったです。
宮入さんにいただいたお菓子。デザインもバッチリ。
城北工房を訪ねる/静岡市葵区 [民藝・手仕事・古道具]
うずらのモチーフで、とても好きなデザイン。お父様の作品だそう。
静岡の旅の続き。静岡市葵区に訪ねてみたかった「城北工房」があります。大橋俊之さんが型染めの仕事をされています。この日はお休みのところ、ご対応くださいました。まず部屋へ上げていただきましたが、その部屋が世界の民芸がいろいろと置かれてたとても素敵な部屋でした。玄関からつながる工房を見学させていただくと、タテ長の空間。布は長い寸法のものなので、奥行きのあるスペースが必要なのですね。大橋さんが糊を塗る作業の実演までしてくださいました。お父様の代は、屋号の家紋やのれんを染めたりする仕事をされていたそうですが、今は大橋さんが現代の生活に合ったデザインを考え、布を染めて商品をつくられています。大橋さんはムサビの先輩だということもわかり(工芸工業デザイン科と思われます、ぼくは建築)うれしくなりました。お父様の作品も含め、いろいろ見せていただいたのですが(いろいろ引っぱりだしてスミマセン・・)、いくつかとても気に入って買わせていただきました。部屋に飾られていた下の写真の大きな太陽?のような花のような文様は、お父様の作品だそうで、とても印象に残りました。この作品、少しずつずらして回転させながら染めたものだそうです。布を染めるということは、描くということよりもシンプルでマットな表現になるところが、なんだか切り絵とも共通していて、だから自分も惹かれるのかもしれません。ぼくも自分で何か染めてみたら、大橋さんにまたお会いしに工房へおじゃましたいです。
最初のうずらとともに買わせていただいた壁掛け。
これは大橋さんのデザインで、とてもモダンなデザインで好きです。
お父様の作品だという、太陽のような花のような文様。
これはとても印象に残りました。部屋の雰囲気を作り出していました。