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芹沢銈介美術館/蒐集家・芹沢銈介 選択という名の創造 [民藝・手仕事・古道具]


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自邸の内部1

静岡へ小旅行してきました。今回は民藝の旅であります。ずっと行ってみたかった静岡県立芹沢銈介美術館へ初めて行くことができました。登呂遺跡のすぐ脇にあり、現在「蒐集家・芹沢銈介―選択という名の創造」が開催されていて、芹沢銈介の作品のほか、芹沢銈介による蒐集(しゅうしゅう)物の展示がされています。ここ何年かぼくがとても興味を持って集めてもいる世界中の民芸品が盛りだくさんに展示されていました。どれも素晴らしく楽しいものばかりで、珍しいものも結構あり、とても楽しめました。ほとんどのものが、今はもう作られていない民芸品だと思います。集められた当時は、ああいったものが普通に手に入ったのだというのがとてもうらやましくもあります。そもそも「民芸品」なのに今は見つかっても買えない値段の骨董品になっていることが多いですから。

芹沢銈介の型絵染(型染めによりつくられた絵)の中でも、文字をそのまま絵として用いたものがぼくは特に好きです。切り絵と共通点も多く、アイデア・色合い・デザイン・構図のすべてが参考になります。どこか無国籍な感覚が漂うものも多いのは、やはり世界中の民芸品を見てインスピレーションを得ていたからなのでしょうか。観察眼や作品をつくるときの視点も参考にしたいところです。

上の写真は、移築されてここへ来たという、美術館すぐ近くにある芹沢銈介の自邸。この日はちょうど祝日で公開されており、見ることができました(部屋の中には入れず、土間から部屋を覗く感じ)。この部屋がまた素晴らしい。こういう部屋で創作していたのだなあと感じつつ見てきました。

建築家の白井晟一の設計による美術館の建物自体も素晴らしい。美術館でありながら、どこか住宅のようなスケール感も感じる、あたたかみのある空気感の建物です。作品や民芸品の保護のためか、展示室に自然光を入れていないのが残念な気もしました。気がつけば2時間以上、じっくりと美術館を観ました。まずは一つ目の目的、大満足でした。

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うろこ雲の朝 [コラム]


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今朝はウロコ雲がきれいでした。まるで波のようでもあります。だんだんと消えてうすくなってなくなってしまいました。もう冬ですね。

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八木アンテナ [コラム]


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「あのう、まったく関係ないですが」
八木アンテナっていうアンテナがあります。昔、よくテレビアンテナとして屋根の上に立っていたもの。地デジになって最近見かけないですね。仕事をするようになってから、陸上無線どうのこうのという資格?をとるときに、講義を聴いていてもまったく(ひと粒も)意味がわからない中「八木アンテナ」っていう名前だけは覚えられました。そのとき「ああこの感じ、どこかで味わったような・・・」と思いました。
「そして、まったく関係ないですが」
そう、ぼくは高校生のとき理系で、大学は工学部の「建築科」を目指していたというのに、必須の物理がものすごく苦手(まさに、にがい感じ)でした。あるときの物理の期末テストだったか?で、「ニュートンリング」という言葉を答える1問だけが正解で、あとは全部(全部。)バツだったときがありました。5点とかだったように思う。物理の先生が「きみ、建築行くんでしょ?やばいんじゃないの?」と言ってました。苦笑。そしてなぜだか、美術大学の建築へ行くことになるんですが、美術大学に入るのには物理の試験は無かったからダイジョブー、ダイジョブー。
「それからまた関係ないですが」
そして、周りのみんなはデッサンなんかの修行をして美術大学へ入るのに、ぼくはそういう修行をしないで入ったもんだから、大学では絵を描く事に結構なコンプレックスがありました。それなのに!今は絵を描いたりしている自分が、なんだかおかしいのではないかと思います。なんで絵をやってるのか?と思います。ダイジョブーと言い聞かせてやっていくことにします。さようなら!

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スケッチを描く [作品]


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明るい光にあふれた今日の昼間、布のデザインのために時間をかけて鉛筆でスケッチを何枚も描きました。毎日違う仕事や雑用もあるからいつもいつもこういった時間を取れるわけではありません。いかに集中して考えるかが勝負。そう、時間が空いても、すぐに絵の世界に入り込めるとは限らないのです。いつもそこになかなか苦労します。本当に「やるぞ!」とやらないと出来ない。こうした感性の世界は、机に向かったからできるわけではないところがなんとも厄介です。もちろん、いつでもどこでも絵が描けるよ!っていう作家さんもいるんだろうけれど、ぼくはまだまだですね。今日はなかなか良い集中ができました。

鉛筆で濃く描いた線画のモチーフ。これをスキャニングしてマックに取り込んで、パターンデザインを早速2つ作ってみました。パターンデザインをする仕事は今回初めてなので、なかなか新鮮な気分です。ここでまた難しいなと思うのは「作り込んだから良いもの」とはならないこと。これはとても重要な点で、これを間違えると洗練された素敵なものはできません。ファインアートの絵画の人は、描き込んで、描き込んでと仕上げるのだろうけれど、それとは逆に、どこまで引き算できるかということがデザインにおいてはとても重要だとぼくは思っています。良いのができると良いな!

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新しいお客さま/広がる民藝の仲間 [民藝・手仕事・古道具]


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昨日は素敵なお客さまが我が家へ来てくれました。今まで、本当にいろいろな方々が来てくださいましたが、また新しい仲間です。

日本民藝館の古屋さんと型染作家・大木夏子さん。そもそも、古屋さんがぼくのアトリエを見たいと興味を持ってくれてお呼びしたのです。また、少し前に中目黒SMLの型染展でお会いした大木さんともっとお話したいと思っていたところ、古屋さんと大木さんが親しいということがわかり、お二人をお誘いしたというわけです。

「アトリエ」なんて呼んでくださったのでそう書きましたが、作業台の机やMACなどがあるただの6畳ほどの板張りの部屋です。妻と共用の部屋で、自分たちは「作業部屋」などと呼んでいます。リビングとその作業部屋にある郷土玩具や世界の民芸品や、切り絵作品の原画もいろいろ見ていただきました。

大木さんからは、いまぼくが興味を持っている型染めについて、いろいろな情報をもらいました。話の中で、布を染めたあと、「実際に使えるものに加工する」ということの話になりました。ぼくも実際、じぶんが型染めを始めたら、そこがとても難しい点ではないかと気になっていたのです。大木さんのような型染めでずっと活躍されてる方でさえ、その点にいつも悩んでいるとのこと。布をデザインして染める人、その布を使って洋服やグッズに加工する人というまったく別の作業。そこがうまく分業されて、うまくいくような仕組み(人だけでなく費用的にも?)があれば、もっと染色の作家の作品も生かされて活動しやすくなるのにということですね。

あと、我が家にたまたまハンガリーのフォークアートの本があり、この国に詳しい古屋さんが、ハンガリーの生活と民芸品の素晴らしさなどを話してくれて、その素朴なるハンガリーという魅力的な国に、とても興味を持ったぼくたち。その本を見ていても、どれも素晴らしいのです。お話を聞いて、いつか行ってみたい国のひとつになりました。なかなか古書店でも売っているのを見たことが無い本なのですが、たまたまぼくがネットで見つけて表紙だけ見た直観で買った本が、古屋さんも持っていたのです。それはまたすごい偶然なので、なんだか巡り合わせを感じますね。

お二人ともとても自然体で素敵で、いっしょに話していてとても楽しい方々で、妻ともとても楽しかったねと話しています。また来てもらいたいな!ぼくたちの民藝の世界は、年を追うごとにさらに広がっていきます。

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柚木沙弥郎さんのトークショーへ [コラム]


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昨日11月13日の夜、渋谷のSPBSという本屋さんで開催された染色作家・柚木沙弥郎さんのトークショーへ行きました。先日グラフィック社から出版された本「92年分の色とかたち」の発売記念イベントだそうです。柚木先生はすべてにおいて憧れのかたです。作品の持つあの大らかな空気感と伸びやかさ、型染めから絵本、イラスト、絵画、立体まで本当に幅広い創作活動。

つくり手の立場からの視点での柚木先生のお話には、自分にとっていくつも響く言葉がありました。ぼくは長く絵を続けていこうと思っている中、自分がとても勇気づけられる言葉もありました。中でも「ひとつのことを長く続けなさい」というお話には感動しました。「長く創作活動を続ける秘訣は何ですか?」というお客さんの質問に、先生は淡々と答えられていました。「若い人はみんな、迷っていろいろなことをやろうとする。でも、ひとつのことをずっと続けていかないと、そのことを本当に好きにはならないでしょ?」それは、92歳までずっと創作を続けてこられた実感ある本物の言葉なんだろうなと感じます。また「今でも創作に自信がない」ともおっしゃっていて驚きました。ぼくは、自分のことでもよく迷うことがありますが、こうした言葉にはとても励まされました。

また、制作活動をしているお客さんの別な質問で、「人に教えること」について、どうしたらいいか考えているという質問には「ぼくも教えられないから、教えなくてもよいのでは?自分がいろいろ作るのを見てもらえばいいんじゃないの?」というニュアンスのことをおっしゃっていました。ぼくが、まさにワークショップなどでとても悩むところでもあります。今後、ワークショップをどれだけやるかは分かりませんが、とても勇気が出ました。深い言葉の数々に、いままで積み重ねてきた生活と創作活動が見える柚木先生はとても素敵な方でした。

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新しい仕事 [コラム]


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新しい仕事が始まっています。ひとつ目は、手紙社さんとのコラボで作るもの。先日、手紙舎2nd STORYにてご担当の方と打ち合わせし、方向性が少し決まり、ラフを描くところです。もみじ市からの流れで、新しいことにチャレンジできることはとてもありがたいことです。いいモノができるように、練りたいとおもいます。集中して、いつもより少し時間をかけて取りかかりたい。もうひとつ別件も動いています。こちらは、できあがったものがCMにも出るらしい?ので楽しみです。近々打ち合わせにいくことになっています。

まずはいろいろ本などを見て、可能性を探る感じ。そのあと、頭を空っぽにして、いろいろ自分で描いてみます。ぼくにとって本を見たりするのは、アイデアが煮詰まったというより、何かをみてその連想で何か別なものを思いついたりできるから。それは自分でも不思議です。だから、いろいろ見る事はとても大事。自分の空気感のある無国籍なものができたらいいなと思う。

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葉の文様 [作品]


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今年の夏の旅は沖縄へ行きました。読谷村には、葉の文様がとてもきれいな器がありました。慣れた手つきでサラサラと描いた感じのもので、横田屋窯さんのものは特に色合いもやわらかく、あたたかみがあって気に入って買わせてもらいました。

旅から帰って、9月末のもみじ市に向けてつくったこの作品。頭に文様が残っていて、何か葉っぱモチーフの絵をつくりたくなりました。この作品は、見てきたものを特に参考にしたわけではないのですが、自分なりのシンプルかつグラフィカルなものにしたいと思いつつつくりました。ひとつずつハサミで「あまり滑らかに整いすぎなように」丁寧に切り抜きました。ザックリした風合いを出したいけれど、滑らかにきれいにではない。ザックリなだけでは洗練されたものにならない。その加減が難しいところです。とてもシンプルにできている絵なのですが、これはなかなか時間がかかった覚えがあります。壺屋通りのさまざなま器の形と絵、沖縄そばの味、強い陽射しを思い出します。この夏、沖縄に行けて良かった。

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吉田慶子さんの新作「カエターノと私」 [音楽]


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わが家が大好きなブラジル音楽の歌い手、吉田慶子さん。昨夜、渋谷のサラヴァ東京で新作アルバム「カエターノと私」の発売記念ライヴがあったので、これは!と二人で行ってきました。吉田さんはボサノヴァやサンバカンソンなど、ブラジル音楽を歌われていてすべてポルトガル語なのですが、落ち着いた語り口でありながら時にリズミカルで、かわいらしさと大人の雰囲気を併せ持つ品のある吉田さんの歌声はやはり特別だなあと感じます。微笑みながら歌う吉田さんの歌を聴いていると心地良い。そして、相撲好きだというご本人のユニークなトークも炸裂しており、いつも楽しいライヴです。今回はアルバム制作と同じメンバーという、ピアノの黒木千波留さんとベースの増根哲也さんとの共演で、素晴らしい演奏でした。新作「カエターノと私」は、いつもながら家でずっと聴いていくスタンダードとなりそうです。カエターノ・ヴェローゾ、ぼくも好きなアーティストです。新作には入っていないけれどぼくも大好きだった曲「サンバがサンバであったときから」も今回吉田さんのギターと歌で聴けてうれしい。吉田慶子さんにも久しぶりにお会いでき、楽しい夜でした。最近、少し音楽から離れ気味でしたが、やっぱり音楽も良いなあと思います。

写真は、左上が2013年「ソネット」、右上が2007年「サンバカンソン」、左下が2009年「パレードのあとで ナラ・レオンを歌う」、右下が新作「カエターノと私」。

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ぶどうのようなつながり [コラム]


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最近、知人のいる山梨へ行ってきました。民藝の旅ではありません、念のため。途中、ぶどう園へ寄ってみました。収穫の時期はもう終わりで、今なっているぶどうは最後の残りだそう。とはいえ、少しだけ味見させてもらうと、それはジューシーな味。そのぶどう園の中にあるカフェで、不思議な盛り付けのランチを食べ、ひと息ついてから知人宅へ向かいました。ぶどうのある風景というのもとても雰囲気があり、美しい景色です。

それはそうと、最近またいろいろと新しいことが動き出しつつあります。自分でやりたいと思っていることを含めるともっと増えますが・・・なかなか時間も無いですね。いろいろな人との出会い、そしてつながり。そう、ぶどうのように連なるようなつながりだね。今年に入ってからも、またいろいろな人に出会ったように思います。別々に自分とつながる人同士が知り合いになったりするのもなんだか楽しいことです。

出会いというのは、どこでどう形になって、何かの楽しい企画に発展するかわからない。すべての可能性の始まりなんだと感じています。出会ってすぐに仲良くなる人、たまにしか会えないけれど、とても大事な人。もちろん、出会っても大してやりとりもなく、お互いに忘れてしまう人もいますね。人と出会うことが、何かにつながって、自分の新しい活動にもつながります。7年くらいこの作家活動を続けてきて、今そのことをとても実感します。

最近このブログも更新が毎日では無くなっていますが、それはPCに向かう時間を減らそうと思ってのこと。来年は個展も実現するつもりなので、特に重要な一年になるでしょう。そこへ向かって、でも同時にいろいろなものを見て、ジューシーに吸収していきたい。

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鹿児島睦の図案展2014/doinel [美術・デザイン探訪]


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ライブペインティングで描かれたという大きな絵

昼間に東京青山のお店doinel(ドワネル)でやっている鹿児島睦さんの個展、図案展2014を見に行ったら、ちょうど鹿児島さんもいらして、楽しい時間を過ごしました。いつも本当にサービス精神旺盛な鹿児島さんは、とても楽しい方。作品の解説、グッズのこと、制作のときの方法、沖縄のこと、絵のこと。短い時間でしたがいろいろとお話してくださった鹿児島さん。ぼくは少し自分の相談などもして、仕事のことでのアドバイスも頂いたりしています。作風は違っても、鹿児島さんの制作活動や考え方は、ぼくにとってとても参考になるし、鹿児島さんはぼくにとって憧れの存在の先輩です。鹿児島さんはもちろん、ぼくの周りには目標にすべき先輩がたくさんいてありがたいなあと、改めて感じています。今回の個展もとても興味深いものでした。アートディレクターの前田景さんが鹿児島さんの絵を素材にグッズなどを制作されているそうです。会場設営はimaの小林恭さんマナさん、下川織物(久留米絣)、小園由華さん(キナリ)、うなぎの寝床の5組がコラボレイトしての個展だそうです。鹿児島さんのプロダクトを見ていると、チームワークがとても素晴らしいのだろうなと思います。今回の個展では絣の作品など特に新鮮で、絵がまた違った見え方をしていてとても面白いです。鹿児島さんの作品を見せていただくと自分もがんばらねば!というよりもっとがんばりたい!とぼくはいつも思うのです。この個展は11月18日(火)まで。

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今回は魚の絵の皿が壁に展示されていて楽しい

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木鷽/KIUSO 日本からアメリカへ [作品]


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先日お会いできたHouse Industriesのアンディ・クルズさんとステファニー・クルズさん。これは半年ほど前、お二人からプレゼントが届いたとき、お礼の気持ちを伝えたいと思ってつくった作品です。スキャニングもして載せるのを忘れてしまっていました。見ての通り、郷土玩具の木鷽です。何か日本的なものを描きたいなあと思って、でも和風とかではなくて・・と思い、部屋を見回すと自分が持っているたくさんの木鷽がいました。いろんな形のがありますが、いちばんポピュラーと思われる亀戸天満宮の形をモチーフにしました。これは絵なので、タテのラインなど微妙にカーブさせたりして、フォルムも若干変えて味を出しています。足などはやはり手で描いた方がしっくりくるので切り絵ではなくここは手描き。(あ、ここは貼ってない!とかではないのです。わざとです。)

そもそも、こういう「実物」そのものを描くということが、ぼくの場合はとても珍しいのです。モチーフとしてよく描くのは「鳥」だったり「植物」だったり「太陽」だったり「水」だったりしますが、ぼくはそれらを描くとき、自分の「架空のカタチ」として描くことがほとんどです。今目の前にあるものをそのままデッサンする、とかそういうものではなく、自分の中から出てくるもの。

なので、木鷽を描いたとき、なんだか新鮮な気分でもありました。柚木沙弥郎さんが民芸品など描かれている絵を見た事がありますが、目の前の実物をモチーフにしても、それはそれで、また自分の作品になるのかも知れないなと、今更ながら思いました。でも、やっぱりぼくにとっては架空の方が楽しいかな。

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栗の季節 [美術・デザイン探訪]


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秋も深まって東京は朝晩が寒くなってきました。そろそろ年賀状を考えなければならないなあと思いつつ、最近は少しゆっくりと過ごしています。秋は栗の和菓子なども多いですが、お菓子のパッケージは本当に見ていて楽しいものが多いです。写真は栗ようかんの包装紙で鳥居敬一のデザインによるもの。文字をデザインしていてとても美しくインパクトがあります。鈴木信太郎による喫茶店の女性のトレードマークや、柚木沙弥郎による松本の開運堂のパッケージ。民芸やその周辺で活躍する方々のこうしたパッケージやイラストレーションは特に好きです。あたたかくも同時に洗練されていて、強く印象に残る名作の数々。

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崎陽軒 ひょうちゃんの蒐集について [美術・デザイン探訪]


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知らない方のために言っておくと、これは「ひょうちゃん」です。ぼくは元ハマッ子ですが、ハマッ子の基本でもある崎陽軒のシウマイでおなじみのキャラクターで、しょうゆ入れです。ああ、我が家にどんどん集まってきます。昨日たくさん入荷してしまいました。しかもこの大きなタイプ(もうひとつ小さいタイプもある)!ポイントは「集めてるんだ」と言っておくこと。そうすれば、捨てずに取っておいてくれるというわけ。敬意を込めて「ひょう」と呼び捨てにしています。

ぼくは元ハマッ子なので当然のことながらシウマイ弁当が大好き。もう何回食べたか分かりませんね。シウマイももちろんおいしいのですが、あのお弁当はごはんが他の弁当よりも格段にウマイ。最近は同じ崎陽軒の「チャーハン弁当」も良いなあと思っています。この「チャーハン」がまた、とても良い具合ですよ。ふつうのチャーハンというより餅米みたいな食感で、なんとも中華おこわみたいです。あっと!話がそれてますよ!今はこのひょうはシウマイ弁当に入っていないのが残念だけど(昔は入っていた気がするのだけど気のせいか?)、写真のものは今は「特製シウマイ」に入っているものです。特製は、シウマイが少し大きく、ジューシー。貝柱も多く入っているとか。情報によると、羽田空港で売っているものにはひょうちゃんが入っていないとか。飛行機に乗るときに持ち込まれることなど考慮されてのことなんでしょうか・・・

赤いのはイラストレーター原田治さんによるひょう。一番下の段、左から2番目は友人みやらさんにもらった柳原良平によるひょう。いろいろな限定モノのひょうもいるんだなとわかります。この二人のものは洗練された感じですが、普段のひょうは、ちょっと毒があるタッチのものも多く、それが何とも持ち味でまた素晴らしいところ。カンカンのひょう、喜ぶひょう、笑うひょう、泣くひょう。やれやれ。

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スタンダードな美しさ [美術・デザイン探訪]


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これは世田谷のd&departmentでふと見つけて買った山形の銘菓「マロン」です。dのトラベル本で山形特集が出たようで、その横に売られていました。これはデザインが素晴らしいなと思い、思わず買ったというもの。レトロと言われそうですが、ぼくはこういうデザインを見るとき、あまりそういう風には捉えていません。レトロ趣味なんかではなくスタンダードに美しいものと思っています。この心を捉える感じはどうだろう。栗のお菓子(まだ食べていないのだけど)だから、美しい栗のシルエットを花びらにしたフラワーのデザインセンス、色使い(ぼくがアレキサンダー・ジラルドの色使いを参考に太陽のデザインに使ったピンク×黄色の色合い)。こうしたお菓子はデザインチェンジも多いけれど、良くアレンジされることは少ないんだろうなと思います。良いデザインはきちんと残していくことも大事なことなのになあと思います。

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蒐集と制作 [コラム]


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最近は興味があるモノの展示会などに行かずにいられない。もう置く場所も無くなるのに、何か仕入れてしまう。洋服にもどんどん興味が無くなり、レコードもほとんど買わなくなり(家で音楽は聴いてはいるけれど)、美味しいものを外食するよりも家で過ごすのが好きな最近。そして買っているのは民藝品。どうしようかなあ!この状態。民藝を置くために広い家を探して地方で暮らそうか。本当にそれもいいんじゃないかと思ったりする。やはり蒐集は楽しいもんです。やはり、こういうものってある程度歳を取ってわかるのだなとも感じます。20代、30代前半ではわからなかったし、いや、わかる、わからないではなく、若いときとは捉えている感覚やニュアンスが違う。と、自分の場合は思っています。今だから選べるもの、今だから好きなもの。それを作品にも反映したいと思う。

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石川昌浩・井上尚之 二人展/学芸大学 yuyujin [民藝・手仕事・古道具]


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学芸大学にある器店yuyujinで、石川昌浩さん(ガラス)と井上尚之さん(陶)の二人展が11月2日(日)まで開催されています。今日25日は初日ということで、石川さんと井上さんもいらっしゃいました。以前、我が家は小代焼ふもと窯へ伺ったことがあるのですが、井上さんに久しぶりにお会いできました。石川さんとも今回初めてお会いでき、今日行ってみて良かったです。井上さんの白い小さい花器をひとつ持ち帰りました。面取りがなんともエレガントな曲線を描いています。井上さんの器は、どこか西洋やアフリカなどの雰囲気も感じられ、でも同時に日本の感じもあるような・・・見ているととても楽しい。今回並んでいた器の中でも象嵌(ぞうがん)のものが特に良いなあと思い、今後買いたいと思いましたが、今日はこの壺だけにしました。以前倉敷へ行ったときに倉敷民藝館で買った石川さんのガラスのコップ、我が家では夏の間大活躍でした。

そして、今日は偶然にも、いろいろな方にお会いできました。まず店内を見ているとうつわの本などでもご活躍されているライターの澁川祐子さんにお会いし、澁川さんとお話していたらSMLの宇野さんがニッコリとやって来て、それからしばらくするとちょうどいらしていてご紹介されたのがずっとお会いしたかった静岡のお店「うつわ暮らしの道具テクラ」の宮入さん。東京では今日25日からスタートするうつわの展示がたくさんあるそうで、皆さんにその情報を教えていただいたりしました。民藝ネットワークとでもいうか・・・民藝というものを今の世代なりの柔軟な見方で楽しんでいるであろう方々です。自分も多分そういう中にいる一人なのかなと思っていますが、でも、伝統から外れすぎている(ああ今風だなと悪い意味で感じるものは大体そのタイプ)のは嫌だなあと思う。感性の部分だから難しいのだけど、そういう頃合いも全部分かり合えるのが、この方々なんだろうなあと思っています。こういう感覚の人々がつながっていくと、何か新しい流れができていきそうだとも思います。

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すこしずつ広がるのが良い。 [コラム]


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何かが、少しずつ動いているように思う最近です。インスタグラムによる広がりや、雑誌の掲載、もみじ市への初参加とその後の広がり。今年に入ってから、すでにいろいろな人に会ったなあと思います。
それはとてもありがたいことで、楽しいことだなあと思います。社会人になったらプライベートな友人は増えにくいなんてよく聞きます、ぼくは絵という活動があるからか、新たに人と知り合う機会になかなか恵まれているように感じます。最近はさらに民藝の世界も加わって、さらに広がりを見せているような・・・

多分何でも、長く続けることはとても大変なこと。たとえばミュージシャンの場合でいうと・・・大ヒット曲はないけれど、常に一定の人々から支持され続けて、長く活動しているアーティストのような存在がいいなと思います。今、作家活動を始めてちょうど7年くらいが経ちます。ぼくもそういう息の長い活動を目指したいと思っています。写真は、大阪の国立民族博物館で見たメキシコのテキスタイル。

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Andy Cruzさんご夫妻に、ついに会う! [美術・デザイン探訪]


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おとといの晩はHouse Industriesでさまざまなプロダクトを発表されているデザイナー、Andy CruzさんとStephanie Cruzさんご夫妻の食事会に参加させていただきました。フォントを使った特徴あるデザインは見ていて楽しいです。日本には何度もいらしているようで、民藝などもお好きな二人。今回はもともとぼくたちの友人であるハーマンミラージャパンの佐々木さんからのお誘いでした。ぼくは英語が話せないのでとても緊張してしまいましたが(日本語でさえ緊張するのに)、AndyさんとStephanieさんはとても優しく、ジェントルでシックなお二人なのでした。ゆっくりと和やかに楽しい時間を過ごす事ができました。みなさんほとんど英語での会話だったので、ぼくは結構分からないことが多かったですが・・・苦笑。その場に出席された方々も、皆さんとても素敵な方々でお会いできてうれしかったです。

もともと、Andy&StephanieさんがインスタグラムやFacebookであるときにぼくの作品を見て下さって見つけてくださったのが始まりだったと思います。その後あるとき、住所を教えて?とメールが来て伝えると、House Industriesの素敵なプロダクトのプレゼントが家に送られてきました。こけしが描かれたブロック、キッチンタオル、そしてアレキサンダー・ジラルドのパンプレットなど楽しいプレゼントでとてもうれしかったです。ぼくたちも何かお礼を伝えたいなあと、ぼくの切り絵をしたマッチ箱、鷽を描いた切り絵、妻は手づくりジャムをお送りしたのです。そんなやりとりがあったりしたあと、今回ついにご本人たちにお会いできてとてもうれしかったです。こういう出会い方というのも面白いなあと思います。

写真は、Andyさんにいただいたプロダクト、Counting Coi(カウンティング・コイ)という名の教育おもちゃ?なのでしょうか。もちろん魚にも見えるし、一瞬、鳥のようでもある「鯉」。外国から見た日本という感覚がまた面白くてぼくは好きです。日本的なものは、外国の人々はどういう感覚で見てるんだろうなと思いながらこれを見ていると楽しくなります。ぼくたちは、先日作った鳥のグレーの手ぬぐい、一筆箋(Letter Paper)、太陽のコースター、そして妻の手づくりジャムをプレゼントしました。ぼくの作品についてAndyさんは「Beautiful!」と言ってくれてうれしかったです。作品というのは、言葉が通じなくても何かが伝わるという意味では、強い伝達ツールなんだなあと、改めて絵の力を感じ、自分は作品をつくっていてよかったなあと思います。出会いってとても面白い。

Andy & Stephanie,thank you so much!
YUYA

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鈴木稔さんの工房を再訪!/益子の旅 その3 [民藝・手仕事・古道具]


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以前はじめて益子へ行ったとき、鈴木稔さんを訪ねました。一度もお会いした事もないのに、いきなり訪ねたのです。今思えば大胆だなと思いますが、そんなぼくたちを稔さんはあたたかく迎えてくださり、益子にとても良い思い出ができたのでした。それから2年ほど。今回の日帰りの益子の旅で、再び稔さんを訪ねる事ができてうれしいです。稔さんの器は、いわゆる民藝ではないと思うのですが、でも不思議と民藝と合う器だとも思います。民藝は和風だとはぼくは思っていませんが、稔さんの器は、一般的な日本の民藝のイメージよりも西洋のイメージ。北欧のような、イギリスのような、でも同時に日本のような。いろいろな表情を持った形をしていると見ていていつも思います。

リラックスしていろいろお話できたのですが、ちょっとお互い仕事についてのウラ話などもあり、楽しかったです。個展へ向かって行く時の制作の話、考えて仕上げていくときの自分なりの方法。ぼくも、ああ、そうだなあ!と思い当たることもあり、他の人がどうやってつくるのか、どういう気持ちでつくるのかということにとても興味があるので、ぼくにとってとても楽しいお話でした。

そして、震災後に建て直されたという新しい窯も見せていただきました。ピシッときれいに積まれたレンガが美しいこの窯自体がまるで作品のようです。工房では器をいくつか選ばせていただいたのですが、今回は湯飲みと六角形の小皿。どちらも良い表情をしていて形も気に入っています。ぼくたちは、自分のマッチ箱や、ちょっとしたお土産を持って伺ったのですが、選んだ器をいただいてしまいました。それにしてもさすがに頂いてしまうのは申し訳ないなと思いましたが、稔さんは物物交換だからいいからいいから・・・と。結局、ありがたく大事に使わせていただくことにしていただきました。稔さんありがとうございます。とても楽しかったです。また伺えて良かった。

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エリック・ホグラン展 渋谷8/Art Gallery [民藝・手仕事・古道具]


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益子の日帰り旅のレポート中でしたが少し中断。渋谷ヒカリエ8階にあるアートギャラリーで、北欧スウェーデンのガラス作家エリック・ホグランの展示を見てきました(会期は明日10月20日まで)。展示室は小さなスペースですが、白い空間に色とりどりのガラスがとても美しい。なんだか夢の世界を見ているようです。器だけではなく、ユーモラスな動物や人の形のオブジェなどもあり、楽しい遊び心が伺えます。

こうした北欧のガラスと日本の民藝のガラスは何か共通点があるように思います。薄くて繊細というよりも、力強い素朴なあたたかさも宿っていると感じます。ぼくは建築時代、特に家具などの分野で北欧デザインがとても好きだったので、展覧会などあればよく観に行っていました。今、民藝などに興味を持っていろいろと見ている中で、北欧と民藝の共通点(言葉では上手く表せない感覚かも知れない)を実感するようになりました。日本の倉敷ガラスをもう一度見に行きたくなりました。
(続きもご覧下さい)

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益子参考館へ/益子の旅 その2 [民藝・手仕事・古道具]


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ひんやりとした空気につつまれた10月の益子参考館。ここへは何度も行っていますが、毎回新たな発見や好きなものが見つります。11月の陶器市のときには人でごった返す益子。以前もその時期に行きましたが、益子参考館には人があまりいなくて(ぼくたちにとってはうれしいのですが)、わざわざ益子へ行ってこれを見ないでどうする!とぼくは思います。全国に民藝館はいろいろありますが、特にこの益子参考館は、世界中のものがあって楽しめます。濱田庄司が制作の参考にした世界の民芸品を集めたので「参考館」。なので皆さんにも生活の(生活を豊かにする)参考にしてほしいということで建てられたとの説明があります。今回もとても楽しく参考館の民芸品を見学しました。

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ペルーの双頭のリャマ?の壺。とても良い表情です。家に牛のものがありますが、ぼくはペルーのこうした陶器の動物が大好きです。

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民藝店ましこ「神崎正樹回顧展」へ/益子の旅 その1 [民藝・手仕事・古道具]


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先日「民藝店ましこ」から1枚の展示案内はがきが我が家に届きました。この鳥のタイル作品の写真をトリミングして大きく使ったはがきで、これは作品を見てみたいなあと思った神崎正樹さん(1917-2003)という方の回顧展でした。しばらく妻と迷ったあげく「日帰りで行けるのではないか」などと思い始めてしまい、そうなると行きたくて仕方なくなってしまい、3度目の益子へ言ってしまったという!

神崎正樹さんは画家でもあった作陶家で、他の民藝といわれる益子焼とはまた違ったあたたかな風合いのある絵付けがされた器が多く、優しい雰囲気の作品が並んでいました。ぼくはこの鳥のタイルが特に好きですが、これは値段も手頃でDMにも使われたからか早々に売約となったそうです。民藝ではないのかも知れませんが、素直な気持ちで作ったんだろうなあというタッチが多く、緊張感や研ぎ澄まされた形というより、和ませるあたたかな風合いを持った器たち。

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民藝店ましこと言えば、お店に飾られているこのメキシコの鳥の置物。これは島岡達三さんのメキシコ土産だと店主さんがおっしゃっていました。もちろん非売品で、毎回行く度に欲しくて仕方ないです。

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誕生日ありがとうございました。 [コラム]


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今日10月15日は自分の誕生日でした。フェイスブック、メール、インスタグラムでたくさんの方からおめでとうのメッセージをいただきました。本当にどうもありがとうございます。すべて、うれしく読ませていただいています。

誕生日は、最近は外へ食事にいくというより家で静かにゆっくり過ごすのが好きです。定番は、鯛の丸焼き(言い方間違えてるか)と赤飯。このスタイルは妻の実家のものだそうで、ぼくも気に入っていて最近はこのメニューをリクエストして妻につくってもらっています。写真のケーキも妻の手づくりで、今回はクリームの乗ったようなものではなく素朴なバナナのタルトが良いなあとリクエストしました。アーモンドの生地とバナナがこんがり焼けていて何とも美味い。

この時期に毎年1つ、年を取る。今いろいろなことを考えていますが、少しずつ、自分が決心した方向へ一歩一歩進んで行ければ良いなあと思います。最終的な理想に向かって、もっともっと努力して行かねばと思います。今後とも作品を見ていただけましたらうれしいです。どうぞよろしくおつきあいください。いつもありがとうございます。

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何もしない日 [コラム]


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朝起きたら晴れていたのでちょっと驚いたが、台風の後で風が強い日だった。今日は、1日ゆっくりと家で過ごした。自分にはたまにそういう風に過ごす日があって、それがとても必要だとも思っている。どこかに行こうとも思わず、外に出るのはベランダだけ。そういう日には、音楽を聞いたり、買っていた本を読んだり、昼寝をしたりする。なんだかここのところの疲れがたまっていたのか、今日は本当にグッタリと寝てしまい、起きたらもう外は真っ暗だったが、スッキリした。そろそろ次へ向けた活動をスタートしようと思う。

写真は、わが家の世界の民芸の棚より、出西窯の花器、インドのコンド族による動物、熊本の木の葉猿、北欧の陶器のニワトリ。

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自分たちの場所 [コラム]


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最近ちょっと間が空いてしまっていますが、何度も個展をしていると、作品がどんどんたまっていきます。旅立った作品はもちろんそれぞれの方のもとへ行きますが、残った作品はファイルなどに入れて、原画を大切に保管してあります。その中には7年ほど前、切り絵を始めた時期のものから始まり、手元に残ったものとは言っても、自分では気に入っている作品もあります。作品というのは、その時その時に違うものが生まれます。同じ作品をつくろうと考えないのは、その時だけの自分の感性、アイデア、偶然の痕跡などの特別な空気を今つくる作品に込めたいと思うから。そうしたストックの作品を見ていただける機会が無いかなあと思っていたりします。それ以外にも、やりたいことをいろいろ考えていると、いつか自分たちのスペースが持てたらいいなあと思っています。

絵やデザインの仕事をする事務所であり、もちろんアトリエでもあり、開かれたギャラリーであり、そして自分たちが共感する作り手による「モノ」も扱うお店でもある・・・という自分たちだけのスペース。そこでは自分のワークショップ、妻の食に関するイベントもできたら良い。自分たちだけにしかできない空間をつくりたい。今日、こんなことを書こうと思ったのは、だんだん自分の中で思いが強くなっているからかも知れません。いつか、実現すると強く思わなければ、多分ずっとそのまま。何をどうするのか、どうやっていくのか、はっきりと目標を持って考えて行く必要があります。

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作品_14の波 [作品]


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一昨日の夜に聴いた波や水面をイメージさせるような音楽の余韻が残っていますが、これは、もみじ市のためにつくった作品「14の波」。市は河川敷で開催だったので、何か水のモチーフの作品をひとつ作ろうと思いました。実はぼくは幾何学の作品は、自分としては一番好きな分野です。とはいえ、いろいろな作品があった方が良いなあとも思うので、愛らしい顔が入ったような具象モチーフも必要だと思います。

軽やかな水の流れというよりは、流れからイメージした形を並べてつくる別の空間。少し力強い感じにもしたかった。なぜ?そう言われると答えが難しいけれど、工芸や民藝の感じに近づきたいという気持ちがこういう感覚にさせるように思います。

一昨日の夜には久しぶりにいろいろな方々に会えたのでとてもうれしかったですが、神戸と渋谷でお店をされている先輩の友人にも会えたのもなんともうれしかったです。次の個展のご相談をしました。日程をもう決めたわけではないですが「行くぞ!!」という気持ちになっています。願わくば東京と神戸の両方で。久しぶりの個展、実現させたい。

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藤本一馬/伊藤志宏 "Wavenir(ウェヴニール)" [音楽]


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昨夜は渋谷のサラヴァ東京で開催されたギターの藤本一馬さんとピアノの伊藤志宏さんのデュオ・ライヴへ。アルゼンチンやブラジルの音楽をはじめとした、繊細で静かな美しい感性でつながる音楽をコンセプトにしたイベントbar buenos airesのシリーズで開催されたもの。

今回は姫路のハンモック・カフェが立ちあげた新しい音楽レーベルの第1弾ということで、このデュオ作品「Wevenir」の発売を記念したライヴ。この作品には音以外の部分でもぼくの友人が関わっています。ジャケットデザイン・写真撮影・アートワークなどビジュアルすべてを手掛けたのはアーガイルデザイン宮良当明さん。プロモーション映像をつくったのは、映像作家ねるやまさんで、ぼくの作品で「ちょっきんアニメーション」を一緒につくってくれた友人です。

ハンモックの中村信彦さんの心温まるようなあいさつから始まったライヴは本当に素晴らしいものでした。ギターとピアノだけというシンプルな編成が、またとても美しい。音が束になる感じのオーケストラなど大きな編成よりも、1音1音の組み合わせや成り立ち、リズムと音と音の隙間が感じられるこうした小さな編成がぼくは好きです。とても繊細な感覚で作られた音構成でありながら、ライヴはとても躍動感もありました。アルゼンチンなどの繊細な音楽を紹介するこのbbaのライヴにぴったりです。

ではでは、このCDはぜひ聴いてみてください。音楽にも、デザインや絵を描くという感覚に近いものがあるんじゃないかなとこうした美しい音楽を聴いてると感じます。みんなオシャレだとかインテリアとか目に見える部分はとてもこだわって気にする人が多いと思うけれど、音楽だってそれと同じ感覚で鋭く選ぶべきだと思っています。ぼくがそういう風に思い始めたのは大学生の頃。ぼくは一生聴いて行ける音楽を選びます。

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作品_秋の森 [作品]


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最近、絵を描いていて(ぼくにとっては、切り絵は絵を描いている感覚そのものです)、整いすぎていない美しさ、偶然に出てきた線、切り口だからできるラインなどに素直に従った作品をつくりたいなあと思っています。先日、芹沢銈介を特集するテレビを見たとき「作為が無い」ということについて説明されていました。作品をつくる上で作為が無いことって、実はとても難しいように思うけれど(こういう形にしようという時点で作為だろうなと思うし)、なんとなくは理解ができた。

何というか、ぼくも切り絵を始めたころとは明らかに違う感覚が出て来ているのは確かです。それは、明確に言葉では説明ができないのだけど、いろいろな手仕事を見てきたことと、その作り手の考え方をいろいろと感じ取ることができたことの影響かもしれない。民藝らしさって何だろう。工芸って、イラストって何だろう。どうして絵というものは、さまざまにカテゴライズされるんだろう。ぼくの中には、今いろいろな感覚が渦巻いているのですが、そのときに素直にやりたいなと思う絵をつくってみようと思う。

この作品は、もみじ市に向けてつくった作品「秋の森」。木というのは、いろんな表現があるけれど、具象ではなく抽象に近い、木の形というよりも「カタチ」と呼べるような、素朴なる簡易な形にしたいと思いました。なんで?っていわれるとそうしたかったからとしか言えないのだけど、でも、なんだかキノコのような、テキスタイルパターンのような、愛嬌ある作品になったように思います。わざとらしくなく素朴、っていうのはとても難しい。それは、大人が、子どもの感覚で絵を描くことなんかに近いのかもしれません。

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夕焼けのときの深い青空 [コラム]


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今日の夕焼けはとてもきれいでしたが、夕焼けのその上には、深い青空が広がっていました。紺から紫、水色から白とグレー。いろんな色が繊細に現れているこの空はとても美しかったです。夕焼けだと聞かなければ、明け方の空のようにも見え、澄んだきれいな空気を感じます。東京は台風により午前中は暴風と雨、午後は急に晴れて夏のように暑くなったと思ったら、夜は急に涼しくなりました。少しずつ、冬へ近づいているなと感じます。もうすぐ年末へ。時間が過ぎるのが今年は特に早く感じます。いろいろやりたいなと思いつつ、やはり時間は限られているなあと。いろいろな人と関わって新しいことを少しずつやって行きたい。本当にやるべきことだけをやろうとこの空を見て思いました。

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